今年度の二階堂研の体制の変化は以下の通りです。 まずは転出から。広大から理研BDR神戸のラボに来ていた亀田さんが博士課程を修了し大日本住友製薬の研究職として転出しました。昨年度の途中ではありますがSPDRの鬼丸さんが名大医学部助教、学振PDの宮脇さんがHarvard UniversityのWyss Instituteに転出になりました。 みなさまおめでとうございます。お世話になりました。ありがとうござました。 上級研究員として理研のラボをゼロから一緒に立ち上げて天下一に導いてくれた笹川洋平さんは、准教授として東京医科歯科大学難治疾患研究所のラボの立ち上げや新しい機能ゲノミクス技術の開発に尽力頂けることになりました。また笹川さんとともに次世代の大規模ゲノム解析技術の開発を進めてくれている研究員の山根万里子さんも大学のラボに助教として移り開発を継続してくれることになりました。どうぞよろしくお願い致します。 各拠点の研究基盤が整いつつありますのでしっかりと研究に集中して楽しみたいと思います。 国立大学法人 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 ゲノム応用医学部門 ゲノム機能情報分野 理化学研究所 生命機能科学研究センター バイオインフォマティクス研究開発チーム
2013年4月に独立して7年目が終わろうとしている。ざっくりこれまでの研究を振り返る。 2013年から2017年の4年はフルスタックのゲノム科学、ゲノムインフォのラボを立ち上げることに集中していた。しかも人様が作った技術のユーザとして研究するのではなく、新しい技術を開発できるラボを目指した。ウェットの開発については、ドライのPIであっても本物を創りたいと考えたので世界最強や唯一の技術を目指した。特に1細胞ゲノム科学に注力した。そのためにまずグラントを取り仲間を集め技術を作った。幸いウェットは元同僚を中心に、ドライはドクター新卒の優秀な人材に囲まれた。並行して開発した実験やデータ解析技術を応用するため、データ生産や共同研究を支えるチームも作った。 2015年ぐらいからドライの論文が少しずつ出始め、2018年にはウェットのフラッグシップとなる技術RamDA-seqとQuartz-Seq2の2つ出版された。2021年1月現在、これらはそれぞれ世界唯一と世界最高性能の2冠である。これが達成できた大きな理由のひとつは、反応原理を徹底的に理解し制御するというチームやそのメンバーの特性にある。ここは世界最高レベルだと確信している。 2017-2018年はラボの移転がありウェットの開発や実験が大きく停滞した。その間ドライのチームががんばってくれて2019-2020年にはドライ研究の収穫の時期がきた。またRamDA-seqの試薬キット化・装置化、Quartz-Seq2とそのデータ解析技術での起業、実験試薬や道具の上市など社会実装の年でもあった。実験が少なくなった分、ウェットのメンバーの解析技術がかなり向上した時期でもある。これはウェットとドライがうまくコミュニケーションできる証拠でもある。 2019-2020年はウェット技術のフラッグシップを駆使した共同研究がいくつか花咲いた。主に「再生医療分野」への応用と「細胞ゆらぎと転写制御の謎」に迫る基礎的なテーマが対象で、もともと1細胞ゲノム科学を始めたときに目標としたものだった。 並行してゲノムデータの科学計算環境のインフラ開発に注力してきた。beowulf型PCクラスタからクラウドの移行やハイブリッド化、DevOpsによる自動構築、ワークフロー言語の導入、動的レポート生成などの導入・開発を行いこれらを日常的に使うラボになった。これらはNI